10/03/2014

恋はハワイの風に乗って 18


ヘアサロン繋がりのおかま君とやりこがはんこのヘアメイクを担当し、昼からカハラの屋敷入りしていた。私は5時半にカハラの会場に出向けば良いだけなので、昼間は余裕で空いている。思いつくところあって、オアフにある出雲大社を目指すことにした。

私が今回こちらに出向く前に、ダンス仲間がオアフに来ていてお土産で出雲大社のお守りを買って来てくれたのに驚いた。出雲大社がハワイにあると? 島巡りをしたときには平等院に立ち寄ったけれど、ならば出雲大社も押さえておかねばならぬ。

Google mapで出雲大社の名前を入れると全然違うところに案内されて迷ってしまった。それであえてサーチしてみたら、ワンブロック程違うところの住所だった。裏手に駐車場もあるし便利だけれど、エネルギー的には結界も特に感じられなかった。ウィキペディアで調べた時に『もやもやさまぁ〜ず2』の関わりが記されていて、なるほどお守りを買いに社務所に入ってみたら、神社のイメージまるで崩れる大きなポスターが中に貼ってあった。ま、神様とカジュアルに接するっていうのも悪くないのかもしれないし、なにしろこうして異国の地でお務めをしてくださってるのだから本当にありがたいことだ。

はんこに縁結びの、チャーに健康祈願のお守りを購入後、チャイナタウンに立ち寄ってみることにした。

何の前情報もなく、適当な駐車場にSmartを突っ込みあてもなく歩いてみる。見た事もないような不思議フルーツを買ってみる。お腹が空いていたので飲茶レストラン『Fook Lam』に向かって歩いてみたけれどなかなか見つからず、仕方がないので途中にあるカフェでパールティーを購入してカウンターのお兄ちゃんに訪ねてみた。とても丁寧に教えてもらえた。

レストランの入り口は運河側にあった。私が持ち込んだパールティーを嫌がるでもなく、中国人の従業員たちはとても雰囲気が良かった。私の向かいでは日本人の多分に家族であろう団体6人程が食事をしている。飲茶はやっぱり大人数で食べるのが楽しくいろいろ味わえるところなので羨ましくもあるけれど、どう見えようが、こんなふうに臆せずお一人様の食事ができる自分を誇らしく思った。パールティーを手にぶらぶらと駐車場に戻りながら、心がとても落ち着いていて、且つ静かな興奮を得ている自身に気づく。自分が好きだと思えた。ワイキキの人混みで落ちてカハラの住宅地に戻り、犬の散歩をしたときに感じたそれと同じ心境だった




それからKokoakoを通過しながら、海際を適当にドライブする。クルマを停めて中に入りはしなかったものの、アロハタワーとか見てみたかったし、気になっていた『Fifty Three by the Sea』の建築物も確認してみたかった。

そしてその途中の路上でショッキングな光景を目にすることになる。道路の端に永遠と続くテントの群れ。それがもちろん普通人のキャンプなどではなく、人の住まいだと気づくのは容易かった。まるでジプシーのように遊ぶ子供達。直ぐそこにはジャガーのディーラーがある、そのコントラストが辛い。

私がオアフに来る前に姐御が私に注意を促していた。

「現地にはね、とても貧しい人たちがいるから。心砕かれないように」

姐御は私のことを良く理解しているな、とその時に思い知らされた。これだけ世界中から観光客が訪れお金が島に落ちているというのに、住人には還元されず、それどころかおかげでどんどん土地の値が上がり、もともと島にいた人たちがホームレスになる。なんて皮肉なことなのだろう

さっきまでの一人探索の興奮が冷め、テントの光景が脳裏に焼き付き心が沈んだ。




私は過去幾度となくホームレスについて記事を書いている。何故か無視出来ない心の痛みを覚えてしまうし、人として扱いたい、助けたい、という気持ちが募る。サンフランシスコ市内に出かけるときは、手元に直ぐ取り出せる1ドル札があり、信号待ちで停まった際にホームレスがいれば、お金や食べ物を差し出し「Take care!」と声をかけている。それが偽善であるか正しいかどうかは別として、そうすることで気がすむ自分がいるからしている。

しかし、それが気になったのでリサーチしてみたところ、意外なことが判明した。ホノルルのホームレス達は、もともと島にいた住民だけでなく、なんとアメリカ本土から片道航空券で流れて来た人間も多いのだそうだ。現在6000人以上のホームレスがいる。確かに冬に凍死することもない、観光客が多いからおこぼれにも預かれるしビーチにはシャワーもある最高のパラダイス。ホノルルはなんとアメリカのホームレスの『最終地点』らしい。

ハワイ州はこのホームレスの流れ者たちにほとほと困り果てて、いろいろ対策を練ってシェルターなどや精神科医からの無料の薬などを提供しているけれど、ホームレスはいわば自由を愛する人種、規則があるシェルターなんかに入りたくない。外の方が気持ちがいいし、何不自由することがないのだ。困り果てたハワイ州が、他の州に身寄りがあるホームレスに片道空港券をあげ島から追い出すこともトライしてみたけれど、人々からの反対がありそれは打ち切られたようだ。

確かにワイキキでホームレスが目立っていたのには気づいていた。バス停の近くにたむろしているイッチャッタおばちゃん、ビーチでシャワーをしつこく浴びていたおっさんたちはどうみたってホームレスだった。更にリサーチしてみれば、バスに乗り込んだホームレスの異臭に参った住人のクレーム、公共のトイレを使わずバス停の隣でいきなりパンツを下げ脱糞してしまうホームレスに怒りを表す人々、その被害は同情を買う以上のものらしい。

確かにホームレスも年期の入った者になると、もうドラッグ漬けで人間を捨てているレベル、いわばゾンビ状態になっているのも少なくない。そういう人々がバス停の近くや公園にたむろしている。『ホームレスを助けようと声をあげる人々は、ホームレスの被害がない高級住宅街の住人であって、ワイキキ住人は凄い被害にあっている。もし、ホームレスが彼らの家のドアの前に脱糞していたら、そんな悠長なことは言っていないだろう』という意見もあったけれど、それを読んで私の目が覚めるような思いだった。

なるほどね。私は美しい住宅街に住んでいる身だから、サンフランシスコ市内のホームレスたちを助けたいと思っていたにすぎないのかも、と。過去20年近くの思いがシフトされたような瞬間だった。


https://www.youtube.com/watch?v=ShzqDEAOjdA


びびなびに寄せられた現地でのホームレスクレーム

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