3/27/2014

髪蘇る、身体参る、東京


体毛を持つ動物である以上、その毛並みには年齢が現れるしそれが美の基準にもなる。前回ブラジリアンブローアウトのトリートメントを受けた直後は、『金持ってる女』という雰囲気が漂うくらいだったけれど、やがてそれもフェイドアウトした。サロンでは3ヶ月に一度の施術が必用と言われたそれも、それ以上結構長持ちしていた。あれから半年くらいはもう経ってしまっていただろうか。かなり厳しい状態になっていたけれど、日本帰国の機会に再度『ヘアドクター』に通うつもりでいたので、どうにか我慢していた。

実家から最寄りの駅まで早朝にママチャリこいで15分。電車に揺られて2時間。てこてこ10分くらい渋谷の駅から店まで歩いて予約時間の12時に辿り着いてみれば、オーナーのJoeさんがとても怪訝な顔をして出迎える。なんと、したつもりの予約が入っていなかった!!!全身からもう冷や汗ぶわっ。オンラインで予約したつもりだったのに、多分に最期のコンファームのぽっちでも忘れた私だったのだと思う。本当にオンラインブッキングの便利さゆえに怖いところ。幸い3時から空いていたので受け入れてもらえたけれど、サロンは大変に小さくJoeさんとアシスタントさんの二人きりで椅子も二つだけ。もしかしたらどうしたって無理な事態もあり得たから、本当に『ボケ中の幸い』としか言いようがない。

「本当にお騒がせして申し訳ありません。じゃぁ、3時に戻ってきますね」

東京へは黒のロングブーツででかけたし、まだ周りでも冬のブーツを履いている人は多かったけれど、陽気は春のそれでかなり暖かかった。この分でいくとロングブーツを履いていられるのもそう長くない。かといって素足にサンダルにはなれないので、この季節の日本滞在は靴に気を使うところ。これがベイエリアなら季節感がないので、サンダルかロングブーツかのどちらかでドレス姿がキマルものなのだけれど。

滞在中はとにかく歩きまくるから、ショックの少ないゴム底でストッキングのつま先が隠れるストラップ付きのデザインのものを探していた。東急デパートまで戻り靴売り場を当たってみるけどなかなかこれといったのが見つからない。ハチ公前に出て西武デパートをめざし、それからマルイへと移動した。渋谷は苦手なくせに、毎回何故かしらそこに出て行く用事ができてしまう。スクランブル交差点のエネルギーは恐ろしく悪く気分が悪くなるので地下を通るようにしているが、やはりマルイを目指しながらも同様な気分の悪さを覚え、動悸がして身体が震えた。週末の混んでいる時に渋谷の繁華街を3時間もうろつくなんて、私にとっては自殺行為に近い。水分不足もあるかと思い、店に戻りながら売店でヴィタミンウォーターを購入して歩きながら飲んだ。

結局はマルイオリジナルの『ラクチンきれいパンプス』の6.5cmヒールを購入した。色はエナメル質のライトベージュ。ぐにゅぐにゅ曲がるゴム底の当たりの柔らかい軽い素材で、お値段の7,900円とお手頃。どうせアメリカに戻ったら履くこともないだろうから、旅行用ということで丁度良い感じがする。

「もう3年分歩いてきました」とJoeさんに告げて、やっとのことで髪のトリートメントを受けることになる。プレミアムトリートメント、カラーリング、カットという施術に4時間以上かかるお尻イタイタの『美』の為の苦行。でも出来映えはやはり満足のいくものになった。頭には『天使の輪』ができ、指の通りもするするで絶頂モノ。それ以前のばりばり毛先は思い切って切り落としてもらって、すっかり『毛並みの良い女』になった。




友人との待ち合わせまでにTsutayaの本屋で人気ブロガーが出版した本を探してみるものの、見つけることができなかった。本はオンラインで購入する私なので、本屋に出向くというのは珍しい。それにしても世の中にいったいどれだけの本が出版されるのかと思う程、その量にくらくらする思いだ。特にコミック本のその量といったら!6階のWired Cafeは本屋なのに照明が暗過ぎて、待ち合わせの時間つぶしに本を読むのが難しいという皮肉な現象あり。仕事の為待ち合わせを一時間ずらされて友人登場。今回は時間のロスが本当に多かった。最上階のレストラン『ぷん楽』に友人が予約を入れておいてくれたが、レストランに入るや否や煙草の匂いがしたので驚いた。未だにテーブルにも灰皿があり、日本はまだ喫煙者天国だとつくずく思わされる。

最終電車のひとつ前の東横線はまるでラッシュ時のように混んでいた。気分が悪くなりそうになりながらも、「こんな生活信じられない。もう嫌だ」と友人にこぼしている若い男性の声を耳にして、人々は慣れて何も感じなくなっている訳ではないのだなと少し安心した。友人が新しく引っ越したブティックマンションのストゥーディオはペットOKのとても機能的で美しいデザインだけれど、やっぱりその狭さには驚かされる。遠い昔に大阪で一人暮らしをしていた自分を思い出した。今後再度また一人暮らしをすることになるかもしれない自分を想像してどうかなと思う。まぁ『住めば都』っていう言葉もあるし、慣れってあると思うけれど。




翌日は友人と自由が丘に出て、私のリクエストで蕎麦を食べた。『二八庵さらしん』には店の中から外まで客が順番待ちをしている人気店。回転は結構早い。確かに美味しかったけれど値段は高いと思う。それから友人に美味しいスィーツの店に連れていかれた。アメリカ人なら二口で平らげるその小さな一切れが600円近いというのにも衝撃的なくらの感覚を覚えたけれど、それも滞在中にはすっかり慣れて普通に感じられるようになるのだろう。辛抱強く席が空くのを待っていると、友人がしびれをきらして隣のベーグルカフェに移動しようと誘ってくれたのでほっとした。あの狭い店内での順番待ちでも精神的に辛いものを感じ始めていた。日本人の『美味い物を食べる為に列を作って待つ』という執念って本当に凄いと思う。

ベーグルカフェで席に落ち着きふと周りを見回して驚いたのは、そこに居た女性の全ての人がみな一応に同じ雰囲気で同じオーラを発していたということ。よく見れば違う人なのだけれど、でもほぼみな同じ感じがする。そして『美人だけどおかま顔のF』と『派手なドレスを着た何系にも属さないおばさんの私』は完全にそこの空間で浮いていた。多分にあれが自由が丘あたりに群れる社会的に幸せな奥さま~んを装った主婦の姿だと察する。




4時半に大宮に移動して、ブログ読者の方と初顔合わせする。彼女は私のブログを読んでダンカンダンスのMary Sano女史のショーに出向きその感想をメールで送ってくれ、初心者レッスンも取ったと報告してくれた。彼女が練習用チュニックを作って写真を送ってくれたので、それに触発されて私も新しい真っ白なチュニックを新調するという流れにもなった。いろいろ話は弾む中、やはり私のブログの読者だけあるな、とつい笑ってしまった。決してメインストリームの中に混じるタイプではなく、沢山のお魚が左向く中でいっぴきだけ反対方向を向いているようなタイプ。だから、前回のオフ会でも集まった読者の方同士は似たようなタイプが多く、あっさりと打ち解けてしまったのだと思う。

家へのお土産は駅の売店で買った横浜プチ・フルールの『ふわふわたまご』。そのドーム型の可愛らしさに惹かれて何か解らずして購入。いかにも私らしいと長女姐が喜んでくれた。家で食べてみたら味はふわっと軽いスフレチーズケーキで大満足。でも暫くはもう人混みには出たくない。



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