5/31/2014

パワーアップするレイキ


「雅は、確かホスピスで仕事してるっていってたよね?」

ショーのリハーサルの前に着替えていたら、おもむろにロシア人の生徒からそう尋ねられた。

「仕事というかボランティアだけれど?」
「どうして自分のエネルギーをあげてしまうのさ?」
「? 自分のエネルギーをあげる訳じゃないわよ。レイキはユニバースからのエネルギーをパスするだけ。でも、確かに私が器量不足なのか患者が死ぬ間際には吸い取られるような感じを防御しきれなくて体調を崩すことは確かにあったかな」
「だったら、何でそんなことしてるのよ」
「知らなかったのよ。ホスピスで仕事をするという経験をしてみたかったの。今はどんなものか解ったから、今の患者を最後に暫くは離れていようと思ってるわ」
「その方が懸命よ」
「なぜ、いきなりそんなこと聞くの?」
「駅で大きなホスピスの広告を見たの。『あなたがもしあと6ヶ月しか生きられないとしたら、どのように生きる?』っていうコピーがあって、びっくりしたわ。考えるのも恐ろしい」

そう、ロシア人の彼女は眉をひそめた。彼女に悪気はない。いつも単刀直入に自分の思いを口にするだけで、お国柄と思っているからそれで私の気持ちが害することもない。しかし、その話を次のボランティアミーティングで話してみた。

「まぁ、それ、我々の医療グループなのかしら?」
「私もそれを尋ねたのですけれど、ロシア人の彼女はそこまで詳しくチェックしなかったっていうんですよね。サンフランシスコ市内の駅の構内で結構大きい広告だって言ってましたけれど」
「じゃぁ、ウチじゃないでしょう。ホスピスにそれだけのお金を使う予算はないはずだもの」

そう、オーガナイザーが言い切って、ボランティアの我々が一度に笑った。

月に一度のボランティアミーティングでは、そのときにいろいろなテーマでの勉強会も兼ねる。『End of life』に直面する人々にどのような対応をするか、そんなことについて話し合うのはいつでも興味深かった。




日本に帰国していた間は、ホスピスボランティアを再度開始するかどうか定かではない私だった。しかしアメリカに戻り、以前に担当していた95歳のHの引き継ぎをしてくれたジムおじいちゃんに会った時に彼女の様子を尋ねてみたら、「あぁ、まだ元気に生きているさ!」と応えたので、礼を言い再度私がHの家を訪問することにした。ジムおじいちゃんにブレイクをあげるけれど、そしたらまた彼は他の人を引き受けることになるだろう。

ボランティアミーティングで、私が以前引き受けていた77歳の男性のその後を尋ねた時に「多分彼はもう亡くなったのではないかしら?」と告げられた。でもいつお発ちになったのかを確認したかったので調べてもらったら、なんと彼は私が日本に帰国した後回復してホスピスプログラムから外されたそうだ。それを聞いてなんとも嬉しい気持ちになった。




95歳の元シニアレイキのプラクティショナー仲間だったHを再度訪れたときには、あまりにも普通に元気にしていたのでちょっと拍子抜けしたくらいだった。「多分にもう会えないでしょうけれど」と言ったHの言葉に涙ぐみそうになった私だったけれど、こうしてまた奇跡的に語りあうことができる。

「えぇ、私はあなたにまた会いたかったから、もうちょっと生きていることにしたのよ」

そう、Hは悪戯っぽい笑顔を見せた。

久々にHに私のレイキを施した後、彼女はマッサージテーブルの上から起き上がるやいなや放心したように「どうしたらこんなレイキができるようになるものかしら」と呟いた。そのときは特に気をとめる私ではなかったけれど、リビングルームに落ち着いてジュースのグラスを差し出した彼女は、再度ちょっと怖いくらいの顔で「あなたのそのレイキの秘密を教えて頂戴。どうしたら、そんなレイキができるようになったの?」と真剣に尋ねて来たので驚いた。

実を言うと、私も自身のレイキの変化に気づいていた。始まる前に自信たっぷりに彼女に「今日はとても良いレイキをしてさしあげられますよ」と告げていたし、終った後も放心して起き上がった彼女に「今日はとても良いレイキをしてあげられました」と再度呟いた私だったのだ。

そう尋ねてくる彼女に、「やっぱり思い過ごしではないのだ」という確信を得、ちょっと考えた後「実は日本でこういう経験をしてきたんです」と明治神宮や鞍馬山での体験を語った。

「そういうことなのね。やっぱりヒーリングスポットに行くことがキーなのかしら?」
「どうでしょう? そういう場所の『エネルギーにシンクロする』ということができるようになったのかもしれません。目を瞑ってレイキをするとき、私は明治神宮のあの場所に戻ることができるんです
「この辺だとどこかしら?」
「さぁ、シャスタ山に行ったときは凄いなと思いましたよ。遠いですけれど」
「あぁ、そうよね。もっと以前にそれを知っておきたかったものだわ」

そうHは遠い目をして呟いた後、「でも、あなたが鞍馬山のパワーを運んで来てくれたことは決して偶然ではないのでしょうね」と言って嬉しそうに笑った。




日本から戻って来てからレイキを施すと、今までにない深みに入る自分を覚える。目を瞑ると明治神宮や鞍馬山で感じたそれに戻ることができるし、気が遠くなるというか意識が『濃い』ものに変わる。それは通常の意識が水のようにさらさらなものだとしたら、私がレイキと共に感じる『それ』はまるで濃い食塩水かミネラル水のような感じといったら近いかもしれない。なんとも形容し難いものなのだけれど『ぬよ~ん』としている。眠くなるような感じだし、実際にHやクライアントはいびきをかき始めるのだけれど、本人の意識は割としっかりしていて、何処に手を当てられているのかとかいう感覚ははっきりしている。単に眠いというのとはまた違う『異次元』の感覚なのだ。これは何度もレイキを受けている人だったら、私の言っていることが感覚として理解できるのかもしれない。シニアレイキでの無料施術はたった30分弱のものであっても、もう起き上がるのが嫌なくらい深くリラックスできて多くのクライアントはその後放心してしまうくらいなのだ。

私の施術は始めて暫くしてからの頃よりもシンプルになった。その当時はレイキの施術ができる機会がある面白さと、自身のレイキそのものに自信がないというか、クライアントから絶賛されても「ほんまかいな」という感じもあったので、それを埋めるかのように指圧の技術を混ぜたりしていた。やっぱり『ツボを押す』という直接的な刺激があれば、それで確実に満足してもらえるだろうという気持ちもあった。

しかし、実際熟練者のレイキを受けると、そんなこざかしいことをしなくても、その手から伝わる温かさと『ぬよ~ん』としたエネルギーのほうが、ヘタなマッサージよりも気持ちが良いということが解る。そして今、私自身が自分のレイキにやっと確信を得て自信が得られたのだと思う。

「怪しい」と思う人には思わせておく。私自身がそこから入ったし、それを信じるまでにここまでの時間がかかった。「信じない」と思っている人には効かないレイキだということも学んだ。『Free will』なので、相手に承認をとらずにレイキを送ったとしても信じない人、必用ない人には何も起こらないので「まるでspell (呪い術)のようだ」と疑われたとしても関係ない。受ける人がどんなに表面上で疑っていても、潜在意識がそれを知っている、必用としているのであれば、必然的に私のような過程を辿って行くものだと思われるレイキは運命に組み込まれているものかもしれない。必用としている人には必然的な出会いがあるのだろうと。そして、関わることのない人にはそういうことでスルーされて終る。いちいち私が力んで「これはこういうものだ」と説明する必用もないのではないかと思える感も強くなった。




ホスピスボランティアをしなかったら、その効果をこの目で確認することもなかった私だったと思う。奇跡を目にした以上、私には確信があり、その確信は『信念』に繋がった。一度信念を持ってしまえば、その力は確実なものになる

「どうしたらこういうレイキができるようになるものかしら」と呟いて起き上がったHは、とても神妙な顔をして「あなたはレイキを教える人になるわ」と続いて呟いた。私の頭にはそれがまるで予言のように響いた。

実際レイキマスターになったものの、レイキを教える人になるつもりはまったくとしてない私だった。最初のイスラエル人の先生がクリニックを閉じて祖国に帰ってしまった後に、残されたプラクティショナーたちがグループでそれをビジネスにしようとやっきになっていたときにも、メンバーとして在籍していたものの私はそれを彼らに任せきりにしていて、自分は昼間のボランティアに精を出していた。どうやってお金に結びつけようかとしているエネルギーとは真逆の方向に行っていた。自分がそういう器量ではないと思っていたところもあるし、自分自身が『その時ではない』と知っていた感もある。そして、そんなグループのビジネスの夢も個々の仕事の忙しさにかまけていつしか消えて行った。

Hのそれを予言のように聞いたときにも、具体的な欲もプランも思いつかなかった。ただ時期が熟すればそうなることもあり得るのだ、というように思えた。



2 件のコメント:

  1. 日本でのお話も興味深く読ませていただきましたが、今日のは、私の中でうろうろしてたものを落ち着かせてくれました。

    レイキレベル1のコースでアチューンメントを受けて、自分の手の中のなにかや、元々ヨガを通して認識があった「宇宙と繋がる感覚」が強くなったのは感じています。だけど、だからどうしたという感じは否めず、セルフトリートメントをしても痛いところは痛いままだし、誰かに試そうにも、マッサージのときは喜んで練習台になってくれた友達たちも乗り気ではないし、レイキの可能性には興味があるものの、私にはどうなんだろうと、始まってもいないのに行き詰まった気分でした。

    でも雅さんの今日の記事を読んで、来る時には来るんだろうなって、頭では分かっていたことが心も納得した感じです。ありがとうございます☆

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    1. そういう『うろうろしていたもの』はよく理解できます。私もレイキの他に別のヒーリングメソッドをお金をかけて学んだ割にはそれを使いこなせないまま、自信もなく相手に使うこともできず、自分でも「これだ」と思えなくて中途半端にしているものがあるからです。レイキもそんな風になってもおかしくなかったけれど、これは運命に押し出されたという感じで次々に機会が 降ってきました。自分の中に無視出来ない探究心がいつも残っていたのもあります。

      今までの時間を生きてみると、ひとつのことが達成されるのに、または進んで行くのに、短期間にとんとんとなるものもあるけれど、まるで10年前の機会がまたぽろりと思い出されるように始まるものもあります。だからnicoさんもそんな感じでレイキとつきあっていれば良いのかもしれません。『宇宙と繋がる感覚』が強くなっただけでもめっけものかもしれませんし。(*^▽^*)

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