11/22/2014

『枯れ』の実感


サンフランシスコベイエリアの今年の夏は例年になく暑い日々が続いていた。なので、ハワイから帰って来ても全くとしてあそこの気候を羨むこともなかったけれど、さすがに最近は朝晩の冷え込みが強くなり、いつしか家にセントラルヒーティングが自動的に入り、シリアスな水不足を懸念していたのが久々に雨を見る冬を迎えていた。

急に寒くなると虫のように動きが悪くなる私は、猫を起こしたくないという言い訳をしてぬくぬくベッドを出られないでいる昨今だ。先日やむない用事で市内にでかけたときに、ユニオンスクエアの周りがもう既にクリスマスの装飾に変わっていたので驚かされた。徐々に、という感じではなく、すこんと季節が変わる。




この秋、私はまた新しいステージに立っているのを意識した。明らかに今までの私とは違う存在。静かでそしてどこか諦めにも似たそんな心境をじっと受けとめている。

枯渇した』というのが一番近い感覚だと思う。




『私はこの3年で一気に老けた。同じ歳の女友達も50歳のときにはみんな「まだまだイケる」といった強気な感じだったけれど、53歳の現在誰もそんなことを口にする人はいない』

自分より少し年上のとある女性がブログ上で正直にそう綴っていたことを思い出す。彼女は3年前の自身の写真をアップして、その『失われたもの』に対する気持ちを書いていた。その間にあったのは『閉経』。私は『閉経後の身体の変化』をとても敏感に感じているし、当時その彼女のブログを読んでピンとこなかったそれを今なら理解する。それは本当に初めての体験でもある。長女姉が長い間抱えていた『気分』も充分に理解する思いだ。そんなとき私は彼女の言葉に対してただただ諭していたけれど、長女姉が聞きたかったのはそんな言葉ではないのだ。それを今私は身にしみて経験している。




雅ランティエと言ったら赤裸裸な『エロテロリスト』が強いキャラであったし、それがゲテモノ仲間にとってのエンターテイメントにもなっていたけれど、そんな私が「すっかり枯れた。もうセックスもしたいと思わないし、一人エッチさえもう随分してないしやる気もしない」と口に出して、ちょっと年下の熟女たちを驚かせている。ほんの数年年下の彼女達はまだまだ現役で、そんな私の言葉を聞いて自分もまもなくそうなるのかと疑っているようだ。もっとも、私は去年の冬以来ずっと人生一番お痩せさんレベルの体型だけど、そんな彼女達は『豊潤』という言葉が似合うような体型だしエストロゲンも豊富だろうから、これから先ももっと続くのかもしれない。

10月に慢性の膀胱炎にかかり、以前に膀胱炎を甘く見て腎盂炎、挙げ句には敗血症にまで悪化させた経験が人一倍私をナーバスにさせて医者通いが続いた。『更年期障害』の中にはそういった膀胱炎も含まれる。エストロゲンの分泌量が低下することによって、膀胱内が弱酸性からアルカリ性に傾き細菌が繁殖しやすいし、膣同様尿道の粘膜も薄くなり以前よりも感染しやすくなるのだそうだ。そんなことがあると、性的な行為ももう安心して楽しめない。ここ数年次第に落ちてくる性欲は意識していたけれど、それでも自らその機会があればありがたく頂くようにと努めてきた。それがこの秋思いもかけない膀胱炎で「もういらん」というところまで行き着いた感がある。

「雅ちゃん、冬だからじゃない? 春になったらまたうずうずしてくるわよ」

そうまともに聞かない女友達もいるけれど、それがそうだとしたらほっとする自分なのかな。今までは本当に性欲のために男が必用だったけれど、これからは彼が大好きでその人だから性欲が蘇るという形に入って行くのかもしれない。それはそれで一番理想的ではあるけれど。




思えば私は、ずっとホルモンに翻弄されてきた。こんなにもしたいのに夫とはできない。その身体の中を駆け巡る衝動をどう押さえていいかも解らなかった。

「ホルモンでぐるぐるしてるんだ。気持ちは解るよ。僕も高校生くらいの時にはどうしようもなくて苦しかったもんなぁ」

そう一緒に遊んでくれた若い青年が言ってくれたときは救われた感じがした。誰かがそれを理解してくれているというだけでほっとするような感じがしたものだ。

「もう強い性欲に翻弄されて苦しいのです。どうしていいか解りません」

そう、女性の主治医に真面目に相談したときもある。

「マスターベーションをしなさい」

そう、主治医はまともに返して来た。何か性欲を抑える薬でもあるかな、とか思って相談したことだったので、ちょっとがっかりした。確か、私の好きなキャサリン・ゼタジョーンズの旦那さんのマイケルダグラスがセックス依存症とかで入院したとかいうニュースを聞いたことがあるけれど、そういう施設で一体どういう治療をするというのだろう?

気の置けない姐御やおかま君とのゲテモノナイトで「結婚してるのにセックスできないなんてもうしんどい。耐えられない」と半泣きでこぼしたこともあった。そのくらい、このあり余る性欲に翻弄されていた。30代の鬱が完治してリビドーが戻って来て以来の、この十数年の『ぴかぴかしたオトコノコ』にワクワクドキドキしながらクーガーまるだし、SATCで言えばサマンサ役そのものの私が、ホットフラッシュでひいひい言った挙げ句に辿り着いた『枯渇感』。ここで手放したら、おばさんまっしぐらになる、という恐怖からしがみついていた何かが消滅した、という感覚がある




と、ここまでくれば「セックスいらん」から「男いらん」になり、「はて、私は何で離婚するんだっけ?」という首を傾げてしまう状況にいる。そういう微妙な心境をきちんと一緒に穏やかに生活している夫には告げているのだけれど、彼は今仕事で凄く忙しくてそれどころではないという感じだ。それで多分に私は『押し出し』で離婚を成立させてしまうのだろう、と割と他人事のような気持ちでもいる。秒読みに入ると、mariage blue如く『divorce blue』というのはこういうものだろうという気持ちも観察できるが、サレンダーでいる以上、展開をただ見守るというスタンスしかとれない。




一日のある時にふっとエッチな妄想が頭をもたげ、それに反応した子宮がきゅうううううっん!と反応して痙攣を起こし「イタタタタタ!」となったあの時や、「アタシ、平気で一日5回イケる」とへろりと告げて女友達を驚愕させたり、子犬君が「もうこれ以上無理」というまでねだったこともあった。それも今となっては懐かしい『過去の私』にすぎない。

サプリメントが実に良く効果を現しているのか、ここのところ『更年期症状』に苦しめられることもなくなった。あれほどしんどかったホットフラッシュもほてりから来る不眠も治まり、身体の節々の痛みも消えて健やかな感じだ。そして、どこかしら『しん』とした感じがある。『エロテロがなくなった雅』は一体どんなキャラになってゆくのだろう。






なんでこんな記事をいきなり書いたかというと、偶然にこんな動画を見つけたから。
マリエさんという存在を今まで知らなかったけれど、これ見て大好きになってしまったわ♪



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