テスに「明日の予定は?」と聞かれて「ダイヤモンドヘッドで日の出を見る」と応えたくせ、やっぱり起きることができなかった。中途半端な早朝に目が覚めたので、Yelpでヨガスタジオを検索してみたら、歩いてすぐそこの距離に『パワーヨガ』のスタジオがあることが判明。9時のクラスに出てみたら、7、8人程の鍛えられた身体の白人が参加しているだけだった。ここ最近ヨガをやっていなかった私だし、クラスのレベルは結構高かったけれど、意外にちゃんとついていけた。久々の頭立ちのポーズも安定していた。
ヨガスタジオの隣に『ラニカイジュース』があったので、スムージーを頼んでいたらkakao talkの着信が鳴った。LINEの存在を知らないチャーはkakao talkを使っているというので、私が早速ダウンロードして繋がったら、彼が追っかけてくれるようになった。kakao talkのスタンプはとても可愛い。これで会話をしているとチャーの個性が更に愛らしく際立つ。こんな風に毎日男とチャットを交すのは、人生初めてに近かった。普段は知り合いの男の誰かが始めてもスルーするし、それでも伝わなかったらすぐに「ウザイ」と思ってブロックしてしまう私には珍しいことだ。このkakao talkが新鮮でもあったので、不思議とそう感じなかったのかもしれない。ハワイで一人というせいかもしれない。
久々にパワフルな感覚に満ちる。やっぱり朝ヨガはいい。ハワイ4日目にして、やっと自分のペースを取り戻したように思えた。欲張らずして、朝食の後に再度ベッドに戻り汗をかいて眠った。
その夜花火を見ながらのディナーデートをする筈だった『駒2』から「仕事でエマージェンシーが起こりデートに間に合うかどうか怪しくなって来た」と突然連絡が入って唖然としたのは、午後3時頃だったと思う。夜のデートに備えて特に昼間何もしていなかったから、このままデートできるかどうかも解らないままそれを待ち最終的にドタキャンされるなんてあり得ない。それであっさりと「次の機会に延期しましょう」とテキストを返し、チャーに連絡を取った。予定していた友人との花火がキャンセルされてがっかりしたと告げたら、直ぐに仕度をして時間通りに迎えに来てくれた。病気で仕事を休んでいるから時間があるとはいえ、毎回さくっと行動が早い彼は、そのときの私にとってはまるでスーパーヒーロー並みの輝きだった。
私は既に彼に慣れている。理由のない親しみ感を得る。それが一体どこから来るのか解らず不思議な気持ちがした。私の知る誰かに似ている気もした。
三度目のデートになる今日も、一目見るなり「わぁ」と驚いてくれた。
「素敵なドレス。お姫様みたいだね」
そして私は『プリンセス』と呼ばれる関係になる。子犬君がそう呼んだように。そう呼ばずにしてもまるでバトラーのように面倒なことを一切やってくれた夫のように、結局はいつでも『お兄ちゃんタイプ』の世話好きの男に惚れられる。そして三女の私は、実家でも同じように座ったままのお姫様になってしまう。それがダメ女と思う男には好まれず、ただ『素の相性』に導かれる。努力して性格のでこぼこを合わせて行く『修行系カップル』もいるけれど、何も特に操作せずとも流れるように展開が起こるそういう相性がある。相手は決して『憧れ』や『理想』に沿った訳ではない。『自分の理想像』は時折、自分の素を無視して社会的価値に沿ったものになっていたりするから、単に妄想の遊びなのかもしれない。私は自然にこういう男を引き寄せる。チャーといて『楽』なのだ。居心地がいい。
スタバのふっかりとしたガーデンチェアでくつろぎ、とりとめのない話をし、それからビーチを歩いた。花火が見れるベストスポットを彼が選び出し、そこにゴザとタオルを敷き私をそこに横たわらせた。生暖かい風の中で美しいサンセットを眺めながら彼に身体を寄り添われても自然な感じがする。ハワイでハネムーンとはこういう気分なのだと理解した。陽が落ちて肌寒くなれば、チャーは敷いていた肉厚のビーチタオルで私の身体を包み、後ろから抱いて温めてくれた。まったく嫌じゃなかった。そしてヒルトンハワイアンビレッジの花火は期待以上の華やかさがあった。
「食べたいのはサラダ。生野菜をぼりぼりいきたいの」
そうまっすぐに告げて夕食のレストランを求めて人混みを歩く。手頃なレストランで手を打ち、ウエイティングのベンチに座っているときだった。彼との会話の内容に関係なく、突然にして彼の顔と私の知ってる誰の顔が重なるのかを理解してしまい、そのひらめきに驚き激しく大笑いしてしまった。
「なになに? そんなに笑うなんてよっぽど面白い事だよね?なに?」
そして私はそれを説明する。
彼と重なる顔はこれなのだ。
| grumpy cat |
「俺って、そんなに機嫌の悪い顔してる〜?」
「いえ…ときどき、だから…」
彼本人には決して嬉しくないことなのだけれど、私が涙をふくほど笑っていたので、彼も困った顔をして笑って終わりになった。でも、本当に似ているのだ。後で更ににこんなのが出て来て、彼が眼鏡をかけているから本当にそっくりになった。もう外れない。
| grumpy cat |
私を家まで送りがてらのMINIの中で、自分がした行為がよかったのかどうか、チャーがちょと戸惑ったような声で確認してきたのには軽い驚きを得た。5リズムで仲間と肌が近いから特に親密感に違和感を抱かない私だけれど、彼にとったらそうない機会のことだったのかもしれない。知り合って間もないのにいやらしい男と思われる誤解を避けたかったのだろう。
「大丈夫よ。嫌ならやらせないもの。Don't worry. I'm grown up!」
そう言って、更に安心させるため、腕を伸ばして彼の後頭部を優しく撫でた。クルーカットのその後頭部は恐ろしく肌触りがいい。猫の背中を撫でているようだ。
「床屋のお姉さんも『気持ちがいいわ』と同じように撫でてたよ」
私が必用以上に撫でていたせいか、チャーがそう言った。撫でられる方も気持ちがいいらしい。
子犬君も私にこうされるのが好きだった。そのせいかどうかは解らないけれど、私がご機嫌になるので、たまのデートの前にはヘアカットを済ませておくのが常だった。
三度目のデートの終わりにしてまるで恋人のようだ、と思った。
でも、別れ際にクルマの中で深いハグはしても、キスはしない。
| サンセットは綺麗だったけれど… |
雅さんの潔い物言いとセクシーさが素敵!!
返信削除いやぁ、いいかげん大人のヲンナですからねぇ…
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