9/23/2014

恋はハワイの風に乗って 14


どうせおかま君たちの行動は遅いだろうと見込み、翌朝はチャーとのチャットの後、顔をさっと洗っただけで彼の部屋に向かった。さすがに手持ちの服が汗臭くなってきたので、大半を大きなバッグに詰めて彼のところで洗濯をさせてもらうことにしたのだ。洗濯機を回している間、風呂につかりリラックスした。

さすがに3回目ともなるとチャーも慣れたのか、ちょっと一緒に湯船につかっただけで「好きなだけ楽しむといいさ」とバスルームを離れたけれど、身体に剃刀を当てなかった今日は、彼と身体を重ねただけでチクチクとして不快感があった。それは私の陰毛も同様のこと。一度剃ると剃り続けなければいけないだろうに、この中途半端な状態の不快感をどうしたらよいものだろう。そうは思っていたけれど、特に言葉にはしなかった。

そして彼のアパートを去る際にはガラージまで一緒に降りて来てくれる彼だけれど、過去2回は私のクルマが見えなくなるまでそこで見送ってくれた彼なのに、今回は「じゃぁね」と言って私がエンジンを発進させた時点でくるりときびすを返していた。「結局、慣れってそういうことかもしれない」とワイキキに向かうクルマの中で思った。




やっさんの携帯に電話をしたらおかま君が出た。ワイキキビーチに出てる彼らと合流したのは昼も回った頃だった。お互いを見つけてビーチに出たら、椰子の木陰にタオルを敷いた手頃な場所に、水着姿のようちゃんを見つけた。細身にスポーティなビキニがよく似合っていた。ワイキキビーチも一番端のその場所は、ロイヤルハワイアンのビーチで目にしたような混雑はなく、カハラビーチのような洗練された感じもなかったけれど、程よく活気のあるナイスな雰囲気だった。

「やっさんは?」
「泳いでる」
「あなた、水着買わなかったの?」
「いいのよ。アタシ、日焼けしたくないし」

そう言って、おかま君はワイキキにいるというのに、普段着のまま日陰に座っているだけだった。

「ねぇねぇ、これ見て〜。やっさん、溺れた人」

そう言って見せてくれた画像は、ビーチに仰向けに横たわるやっさんの姿なのだけれど、何故かしらご臨終に見えて笑った。

「念入りに体中にサンスクリーン塗らせて『ありがとうございます』って言って、それからとっとと海に入ってっちゃったのよ。良く解んないわ」

そう言ってようちゃんが笑う。

「私も海に入って来ようかな」

おかま君を一人にしておくのが可哀想だと思ったのか、私が来て安心したようちゃんも海の中に入って行った。私はおかま君と周りの人間観察をしながら、あれこれ言って笑っていたけれど、ビーチパークの芝生の上、椰子の木に背を預ける若い金髪青年を見つけたおかま君が注意を促した。年頃的には真面目な大学生といった感じだ。

「あれ、おまこの好みでしょ。子犬タイプよね」
「ふ〜ん、ま、ね。若過ぎるわ」

そう切り捨てるように言い、あまり気にすることもなかったけれど、暫くしたら「きゃっ!」と小さくおかま君が叫んだ。

「何?」
「あの、おまこの子犬タイプのカリを見ちゃったわ!」
「はぁ?」
「やだ〜、マスかいてる?」
「まさか!」

そうおかま君が言うので視線を彼にまっすぐに向けてみる。私はビーチタオルの上に腹這いだし、少し高くなっている芝生からは距離もあるし、大きなサングラスをかけているので、私が不躾な視線を向けたとしても解らない。よくよく観察してみると、確かに私も青年のそれを目にしたのだった。

青年は椰子の木に寄りかかり、右手に持ったスマホに視線を当てている感じだけれど、それがフリなのか、それともエロサイトを見ているのかは不明だ。彼の左手は何気に太腿の上に休ませているけれど、ばふんと大きく開いたショーツの間からは、確かに先っちょがお目見えして、さり気に指先でそれに愛撫を与えている。

「わぁ〜、どうしておまこといるとエロ事件に遭遇するかしらね〜。でたわ〜、おまこのエロテロリスト引き寄せ!なんなのこの確率!」

昔からおかまくんと夜遊びに出かけると珍エロ事件に遭遇することが多かったけれど、またしてもこのワイキキにてそのような場面に遭遇するとは。

「公衆でするドキドキ感を味わってるのかしら。人って見かけでは解らないものね」

そう呆れて視線を他に移したけれど、他の話題に花咲いているうちに、ふと気づいたらその青年は姿を消していた。

やっさんやようちゃんにおかま君が嬉しそうにその珍事件を話し、やがて私たちはホテルに戻った。嬉しそうにようちゃんがビールを開け、私たちは交代でシャワーを浴びながら、TVでやっていた『Sex and the City』を視た。凄く古いエピソードで懐かしかった。ファッションが時代を語っている。あまりにも延々とやっているので不思議に思ったら、なんでもマラソン番組のようだった。

ハワイの暑い午後、ワイキキのホテルでまったりとビールを飲みながら友人達と『Sex and the City』を視る。それだけの事が究極的に楽しく幸せだった。





やっさんとのツーショットはいつも『まるで夫婦』



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