7/09/2014

癒しのエクスタティックダンス



久々に落ちている、という感覚を一昨日から自覚していた。ちょうど昨日は5Rhythmsで落ち合う約束をしている人がいたので出かけたけれど、久々に激しく踊り汗をかいたら、今朝すこんと元気になっている自分を発見した。あれほど跳ねているのにまったくとして筋肉痛もなく、それどころか関節痛も和らいでいるほど。

ふと気づいたらひと月近く踊っていなかった。今はタンゴのクラスにコミットしていないし、ダンカンダンスのセメスターも終わり、残りは5Rythmsだけなのだけれど、用事があったり、シャスタの旅行があったり、その後には足の血管のマイナーな手術をしたりしていたので、安静にしている必用があり運動がまったくとしてできていなかった。それだもの気分が落ちてたとしてもおかしくない。

自分にはこれがとても必用なのだと再度自覚する。アルゼンチンタンゴはふらりと気が向くとでかけることはあっても、彼らのようにのめり込むというところまではいかない。相手が要るものだから、それこそラッキーだったらダンスエクスタシーを味わえるけれど、いつも最高に楽しい訳ではない。そのチャンスのムラで興味が薄らぐことになる。ダンカンはいつでもあるクラスではないから、セメスターが始まったらそれ中心の生活のリズムになるけれど、それが終った途端に穴があいた感じになるし、女神になる機会も失う。

それを埋めてくれるのがecstatic danceだ。私が通う5Rhythmsは自分の魂を投入できる素晴らしい機会と場所だ。一年以上も前にレイキの知り合いからこのダンスの話を聞いていた筈だったのにピンとこないまま聞き過ごし、最近久々に再会して何気にダンスの話になってお互いに「おぉ」という感じになった。彼も暫く遠ざかっていたとのことで、戻る良い機会になったらしい。昨日初めて一緒に踊ってみたら、スパニッシュバックグラウンドの彼だから、まるで闘牛士のようなダンスが入っていて驚いた。私も思いっきりフラメンコ風に絡めたのでめちゃくちゃ面白かった。




ダンスにでかける前にきりりとアップのポニーテールの髪を撫でつけたら、私の歳くらいだった頃の夏木マリと印象が重なった。最近私は年相応の法令線が目立つ顔つきになってきた。これ以上でもこれ以下でもなく、自分のベストで保っている生き様を晒した顔がそこにある。まっすぐに両手を伸ばすと、鎖骨以外に肩の付け根の方にえくぼのようなくぼみが見える。6月のブートキャンプのお陰で腕と肩の筋肉が出来上がった。

「君、ヨガのインストラクター?」って人から尋ねられるくらいの体格らしいが、私は「いえ、これはダンサーズボディです」と応えている。




くるりと回転したらわぁっと舞い上がる後ろが長くなっているフレアースカートを履いて踊る。タンゴダンサーが履いてる黒のデカパンを履き、それこそダンカンで素足で太腿が見えるダンスを披露するくらいだから、素足に自信がある訳ではなくとも、ダンスでチラ見くらいの太腿がさらされることには抵抗がない。それがいつまでできるかも解らないけれど、長くできるようにハムストリングは鍛えておこうと思う。ダンカンの師匠を見てると、まだこの先暫くは楽しめそうだと思える。

目を瞑って踊る。自分と空間と音しかない。たまに目をあけると、周りに人がいてちょっと気がそがれるくらい入り込める。私は自由だ。他人と絡むときのアプローチも動物的で、なんとなく鳥や飛ぶ昆虫のそれに近いものも覚える。踊りながら距離が近くなり身体に触れ合う。チャクラにレイキを送りながら踊り絡み合う。それが『スティルネス』のリズムだったら、それこそカマスートラの体位で深く深く抱き合い呼吸を合わせる。それを一緒に出来る相手に恵まれている。

昨日そんな静の音楽でハグをしてゆっくりゆれていたら、相手の男性が泣いた。私も以前彼の腕の中で子供のように泣いたことがあるので、彼も同じようにできたのだと思う。レイキの手を彼の首の後ろや後頭部や、頬や耳の下とかに当てたらもっと出てきた。結構な感情の放出だった。

「自分は凄く沢山のことを抱えていてbig manじゃなくちゃいけない、って頑張ってて、泣いちゃいけないって思ってたのを出すことができて気が楽になった」

そう、最後の輪になっての発言のときに男性が言った。

『カオス』のリズムでは声を出そうと意識するまでもなく悲鳴があがった。

最後は踊り疲れて床に一緒に横たわった男性とスプーンのように重なりあった。私が起き上がっても男はそのまま胎児のように丸まり、私の脚の付け根のところに顔を横たえ癒されていた。その横顔や頭にレイキの手を当てた。『シャーマニック』という言葉が脳裏をかすった。




お決まりのように黒目黒髪がセクシーで美形なブラジリアンの男性がいる。とりあえずの社交ダンスは踊るみたいだけれど、彼と絡むときはセクシーなパートナーダンスが踊れる。タイミングの取り方が上手くて踊りながら鼻先が付くくらい接近できる。

いかにもモテなそうなでっぷりしたおっちゃんがいる。私は彼の腕の中でピンボールのように左右に弾けることができる。彼が支えてくれると完全に信用して身体を投げ打っているから面白い動きができる。

「今日僕は生まれて初めて、ヘビーな自分の身体をありがたいと思った。この身体でしかオファーすることができない、自分だけが与えられるダンスの機会というものを知って嬉しい」

そうモテない君がその日の最後に発言していた。

途中で上半身裸になる、可愛らしいロシア人青年がいる。ちょっと子犬君とタイプが似ている。凄いパワーで飛び跳ねて踊る彼は、私と絡む時にはカンフーのような動きを楽しみ、結構なアクロバティックなこともしてくれて楽しい。『元気』というのはこういうの言うのだな、と目尻が下がる。キュートでお姉さんへの甘え方をよく知ってて、昨日は輪になったときに私の隣に滑り込んで来た。お開きになって、ダンスハイから覚めてシラフで話してみると、人は踊っていた時の印象と変わる。青年はそのエナジーで感じさせるそれよりももっと年上なのかもしれない、と思わされた。そしてきっと私も彼にもそう感じさせているのだとも思う。

彼は5年くらいマーシャルアートを習っているそうだ。

「アルゼンチンタンゴ、最近踊ってないな。5リズムを始めたら戻らなくなっちゃった」

「当たり前だよ。制限無しのフリーな感覚を味わった後、誰が規則に縛られた世界に戻りたいと思う?

そう、青年はいたずらっぽく笑っていた。いい夜の終わりだった。





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